【セルシード、独自技術を活用して再生医療業界全体をサポートする】

CellSeed

小間番号: R-6

再生医療において、細胞を1枚のシート状にして患部に移植するための技術「細胞シート工学」が注目されている。セルシードは2001年の創業以降、細胞シート工学を用いた再生医療等製品の事業化を進めてきた。また、独自開発した温度応答性細胞培養器材の開発、製造、販売や、自社施設で行う再生医療受託サービスを通じて、再生医療業界全体のサポートにも取り組んでいる。

3品目からなる細胞シート再生医療事業

主要事業の一つである細胞シート再生医療事業では、食道再生シートと軟骨細胞シートの製品化を進めてきた。
食道再生シートは、ESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)とよばれる内視鏡手術による食道がん切除後の創傷治癒の促進や食道狭窄の抑制を目的に移植される。2016年から約2年間にわたり行われた治験の結果、その安全性が認められた。有効性については追加の臨床試験を実施し、製造販売承認申請を目指す予定だ。
軟骨細胞シートは変形性膝関節症をターゲットに、東海大学と共同研究を進めている。東海大学では2011年から3年間にわたり自己細胞による臨床研究として8例が行われ、安全性および良好な治療効果が確認された。2019年1月には、東海大学が申請した先進医療Bが承認された。
また2019年8月に、食道再生シート、軟骨細胞シートに続く第3品目として、同種歯根膜由来間葉系幹細胞シート (以下、「歯根膜細胞シート」)の開発に取り組むことを発表した。これは、東京医科歯科大学と協力体制を構築し、歯周組織の再建を目指すものだ。現在、2019年2月に東京女子医科大学から東京医科歯科大学に異動された岩田教授が医師主導治験を実施しており、既存の方法では治療できない重度の歯周組織欠損を有する歯周病患者に歯根膜細胞シートを移植し、その安全性と有効性を評価している。

細胞シート工学を支える温度応答性細胞培養器材

細胞シート再生医療事業を支えているのが、独自に開発した細胞培養器材である。最大の特徴は、温度によって細胞との接着度が変化する温度応答性ポリマーでコーティングされていることだ。
このポリマーは、温度が32℃以上では疎水性の性質を持ち、32℃未満では親水性の性質を持つ。これにより、細胞を37℃で培養しコンフルエントになったことを確認後、温度を20~25℃にして10~30分程度処理するだけで細胞をシート状に回収できる。この際、トリプシン等の酵素処理は不要であるため、細胞シートは細胞外マトリックスを保持した状態で移植、あるいは細胞シートをさらに重ねる3次元組織培養が可能だ。
適用細胞種は、線維芽細胞、間葉系幹細胞、筋芽細胞、角膜上皮細胞、口腔粘膜細胞、破骨細胞など、多岐にわたる。
温度応答性細胞培養器材は研究機関向けに販売されている。基礎研究から臨床応用まで細胞シート工学を支える重要な製品であり、売上は順調に伸びているという。

再生医療業界全体をサポートする受託サービス

セルシードが2018年2月から開始した新事業が、再生医療受託サービスである。自社内に特定細胞加工物製造許可(施設番号FA3160008)を取得した延べ床面積約763㎡の細胞培養センターを設け、4つの独立した細胞操作室にて細胞を製造する。2018年10月には「再生医療等製品製造許可(許可番号13FZ110001)」も取得した。日本再生医療学会認定の臨床培養士等、細胞培養の経験豊富なスタッフが所属しており、センターは24時間自動モニタリングシステムにより清浄度・室圧・温湿度・機器の稼働状況等が監視されており、安全で高品質な細胞を製造できる環境が整っている。
2018年11月には最初の受託案件として、東京女子医科大学より歯根膜細胞シートの製造を受託した。また、細胞製造の受託のみならず、細胞シート培養トレーニングなどの技術者教育や、技術移管、手順書や基準書などの文書作成や、それらに関わるコンサルティングサービスも実施している。長い細胞製造の歴史をもつセルシードならではのノウハウを提供することで、再生医療業界全体をサポートすることが狙いだ。例えば、大学の実験室で基礎研究として作成する細胞シートと、臨床の現場で患者向けに作成する細胞シートとでは、求められる品質や製造基準が大きく異なる。このギャップを埋め、研究機関での作成プロトコルを製品向けに落とし込むような業務も請け負っている。

細胞シート工学を発展させるパートナーを集める

国内だけでなく、海外展開にも積極的だ。2017年4月、台湾のMetaTech社と食道再生シートと軟骨細胞シートの再生医療事業に関する事業提携契約を締結し、台湾での独占的な開発、製造、販売権を付与した。
加えて2019年9月にMetaTech社との合弁会社「日生細胞生技股份有限公司(英語名:Up Cell Biomedical Co.)」を台湾に設立した。台湾と日本の大学等のシーズをベースとした細胞シート再生医療事業の研究開発及び事業化を目的としている。
今回のBioJapanでは、現在の細胞シート再生医療事業の進捗状況、細胞培養器材、再生医療受託サービスを紹介する。10月11日(金)に開催されるオープンステージセミナーでは橋本社長が動画を交えながら製品やサービス、今後の事業計画について説明する。国内外に限らずアカデミアや企業とともに細胞シート工学を普及し、再生医療に貢献したいとしている。

(取材・文:GH株式会社 島田)