【中外製薬が推進する、患者中心の個別化医療の実現】

小間番号: C-34

中外製薬は、今年見直しを行ったミッションステートメントにおいて、「患者中心の高度で持続可能な医療を実現する、ヘルスケア産業のトップイノベーター」を目指すとしている。また、2021年に向けた新中期経営計画「IBI 21」でも個別化医療の高度化を掲げている。今年に入ってから、特にがん医療において成果を次々と出しており、ロシュ・グループの重要メンバーとして国内外で存在感を示している。今回のBioJapanのブースやスポンサーセミナーでは、がんに対する個別化医療だけでなく、独自の抗体技術、少量多品種生産に対応する製造体制などを紹介する。

 

保険適用が開始されたがん遺伝子パネル検査

2019年6月、中外製薬のがん遺伝子パネル検査「FoundationOneⓇCDx がんゲノムプロファイル」の保険適用が認められた。「FoundationOneⓇCDx がんゲノムプロファイル」とは、患者の固形がん組織から抽出したDNAを解析し、複数のがん関連遺伝子を同時に調べる製品である。

ロシュ・グループのFoundation Medicine社が開発したFoundationOneⓇCDxは、次世代シークエンサーを用いて324のがん関連遺伝子を一括検出し、がんのゲノムプロファイリングを行うことができる。また、5つのがん種については、8遺伝子の変異から特定の抗悪性腫瘍剤の適応判定に用いるコンパニオン診断の機能も有している。現在保険適用されているがん遺伝子パネル検査のうち、後者の機能を有しているのはFoundationOneⓇCDxのみだ。中外製薬の薬剤のみならず、遺伝子変異をターゲットとする薬剤のCDxプラットフォームとして広く活用してもらうことも期待している。患者のがん組織の遺伝子変異を包括的に解析して、遺伝子変異に合わせた薬剤を選択する治療は「がんゲノム医療」と呼ばれ、個別化医療の代表例であり、中外製薬が進める「個別化医療の高度化」の実現に欠かせないものである。

 

がん種を問わない新規抗悪性腫瘍剤

がんに対する化学療法(抗がん剤などの投与)では、がんができた部位(臓器)別に投与する薬剤が決められることが多い。しかし、がんは遺伝子変異が原因の疾患であり、がん遺伝子パネル検査が目指すものは遺伝子変異別のがん治療である。つまり究極的には、遺伝子変異別に投与する薬剤を選択することが、がん治療における理想といえる。

中外製薬は2019年9月に、新たな抗悪性腫瘍剤の発売を開始した。この薬剤は、極めて稀な遺伝子変異を伴う「NTRK融合遺伝子陽性の進行・再発の固形癌」を対象に、厚生労働省より先駆け審査指定制度の対象品目に指定され、2019年6月、世界に先駆けて日本で承認された。小児・成人を問わず、NTRK融合遺伝子が陽性であればがん種横断的な使用が認められる。中外製薬の目指す個別化医療を体現する医薬品だ。

なお、本薬剤は、NTRK融合遺伝子陽性の固形がんに対し、米国食品医薬品局(FDA)より画期的治療薬(Breakthrough Therapy)に指定され、2019年8月に承認されている。欧州医薬品庁(EMA)よりPRIME(PRIority MEdicines)にも指定されており、海外においても高く評価されている。

今回のBioJapanでは10月9日(水)の16時よりスポンサーセミナーを開催し、「個別化医療進化で実現するがん治療と中外の取り組み」と題して、がん領域における個別化医療に向けた取り組みを紹介する。

 

独自の抗体技術と少量多品種生産に対応した生産ラインを所有

今回のBioJapanのブースでは、上述したがん領域の他に、抗体技術や製造体制についても解説する。

中外製薬は、独自の抗体改変技術をもち、抗体医薬品市場で強い存在感を示している。例えば、抗体が抗原に繰り返し結合することで抗体が作用する時間を延ばす「リサイクリング抗体Ⓡ」技術、疾患の原因となる抗原を血漿中から除去する「スイーピング抗体Ⓡ」技術、1つの抗体で2つの異なる抗原に結合できる「バイスペシフィック抗体」技術などにより、革新的な新薬を創出し続けている。中外製薬ではこのような独自技術が広く利用されるようにライセンス活動を始めており、新規性が高く、アンメットメディカルニーズを満たしたり個別化医療を実現したりできる薬剤の開発が多くの企業で広く可能になると期待される。

製造体制については、少量多品種生産に対応する生産ラインが整いつつある。これも、個別化医療の実現に欠かせないものである。

 

また会期中はブースにおいて、日替わりでミニセミナーを開催する予定だ(1日目:抗体技術、2日目:個別化医療の取り組み、3日目:製造体制)。パートナリングを通じて、医薬品の開発や販売のみならず、その前ステップとなる疾患バイオロジーの深い理解に努めたいとしている。ロシュとの戦略的アライアンスにより、革新的な取り組みを日本国内のみで完結することなく、世界にも届けることが可能となることは、中外製薬とパートナリングを組む企業等にとっては最大の強みにもなる。

ブースでは、毎年好評のバリスタが淹れるコーヒーが提供されるほか、2日目の夕方には日本酒も用意される予定だ。来場者との気軽なディスカッションを通じて、互いの持つアイデアや知恵を交換し、新たなビジネスチャンスが生まれるオープンイノベーションの場となることを期待したい。

(取材・文:GH株式会社 島田)