【湘南アイパーク、入居者間や地域連携による新たなコミュニティ形成を通じてヘルスイノベーションの実現へ】

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神奈川県藤沢市で「湘南ヘルスイノベーションパーク」(以下「湘南アイパーク」)が2018年4月に開所して約1年半が過ぎた。入居している企業・研究機関は約60社、勤務者数は1500名以上となった。入居者間の連携も増えており、地域やアカデミアも巻き込んだコミュニティ形成を通じて、再生医療、稀少疾患、認知症、未病の重点領域におけるプラットフォームを構築し、社会実装を通じてヘルスイノベーションの実現を目指す。

開所1年半で入居数や地域連携の規模は拡大し続けている

湘南アイパークは、世界のサイエンスパークの特徴である「アンカーテナント(核)の存在」「内部の結びつきにおける多様性」を参考に、製薬企業をアンカーテナントとした世界に開かれたエコシステム構築を目的にオープンした。大学などの研究機関やスタートアップ企業がもつ研究シーズや革新的なアイディア、製薬企業がこれまで培ってきた創薬ノウハウが一つの場に集約する。この多様性の中から、ヘルスイノベーションを生み出そうとしている。
特にバイオ系のスタートアップ企業においては、実験機器や共有オフィスが充実している点が大きなポイントだ。入居初日から実験を開始できる環境が整っていることは、入居を検討する上で魅力となるだろう。
 また、神奈川県をはじめとする自治体とも積極的に連携することで、ライフサイエンスにおける最先端技術・知見を活用したアイディアの創出・実現も目標に掲げる。2019年5月には、湘南アイパーク、神奈川県、藤沢市、鎌倉市、湘南鎌倉総合病院の5者にて、湘南アイパークがある村岡・深沢地区のヘルスイノベーション最先端拠点形成等に係る連携・協力に関する覚書が締結された。病院も参加することで、地域住民の心と体の健康増進や生活の質(QOL)の向上、健康寿命の延伸やヘルスケア分野の産業創出について連携・協力が行われる。

4つの重点領域でヘルスイノベーションを実現する

南アイパークでは、4つの重点領域を設定し、各領域に技術をもつ企業やアカデミアの入
居を歓迎している。4領域とは、再生医療、希少疾患、認知症、未病である。  
再生医療の分野では、神奈川県と共同で、再生医療の実用に向けた課題と提言をまとめたマップを作成し、昨年のBioJapanで公表された。これがきっかけとなって入居に至ったケースもあったと言う。希少疾患については、患者数が少なく、研究するためのデータがそもそも十分ではない現状がある。そこで第一に、患者データを収集することが求められている。湘南アイパークが希少疾病の研究開発のプラットフォームとなり、業界が連携して、患者データの収集、その解 析を通じて診断法や治療法の開発につなげる人材が集約する場となることを目指す。
 認知症は高齢化に伴って患者数が急増しており、もはや重大な社会問題でもある。病態解明は当然のこと、創薬などの薬学的アプローチだけでなく、病態の進行を遅らせる心理学的ア
プローチや介護する家族も視野に入れた包括的なケアの創出に取り組む。
未病は近年注目されている概念であり、将来膨れ上がる医療費の抑制につながると期待されている。神奈川県は未病への取り組みに積極的であり、自治体からの協力を仰ぎながらヘルスケア技術の向上と普及に努める。

様々な形式のコミュニティ形成を通じて新たなコラボレーションを創出する

湘南アイパークが現在注力しているのは、コミュニティの形成だ。入居者間だけでなく、国内外のイノベーターとの交流会、国や自治体などとの各種共催イベントは週2回以上開催されており、顔の見えるつながりが生まれるよう仕掛けられている。2018年度における入居者間の連携ビジネスは30件以上であり、こうした交流会が一役買っているのは間違いないだろう。
2019年5月からは、新たにメンバーシップ制度が誕生した。施設利用や個別ビジネスマッチング、薬事相談など、様々なサービスを受けることができる。湘南アイパークのエコシステムに参画することで、新たなコラボレーションが生まれると期待される。  
また、4つの重点領域に異業種で挑むアプローチの一つに「湘南会議」がある。湘南会議は、神奈川県などの支援のもと、「ヘルスケア領域のビジネス化を目指した社内企業家が共創するコンソーシアム」だ。月に一度会合し、約半年間かけて新しいビジネスモデルの作成を目指している。2018年11月から2019年3月は「メタボ」を対象にした。2月に発表したビジネスモデルは既に実証実験の段階に入っており、今回のBioJapanでその途中経過を発表する。なお、第2期のテーマは認知症であり、現在ビジネスモデルの構築に向けて進めている。

企業と自治体だけでなく、アカデミアとも連携することで、研究シーズや技術を育て、地域から世界に展開するヘルスイノベーションの拠点として発展することを湘南アイパークは目指す。「革新的なアイディアを社会実装する」というビジョンと、「世界に開かれたライフサイエンスエコシステム」というミッションに共感する多様な人材や組織の入居を歓迎するという。

(取材・文:GH株式会社 島田)