【キリンホールディングス、バイオサイエンスをアセットに医と食の中間領域にもチャレンジするグループへ】

KIRIN

小間番号: C-33

キリンホールディングス(以下「キリンHD」)は協和キリン、協和発酵バイオと共同出展し、強みをもつ食事業と医薬事業のシナジーを活かした「医と食をつなぐ事業」における新たな価値創造への取り組みを紹介する。グループ全体で、「企業にとっての価値」と「社会にとっての価値」を両立させ、企業がビジネスを通じて社会課題を解決するCSV(creating shared value、共有価値の創出)の先進企業を目指す。様々な機能性食品素材や技術を多くの企業や団体に活用してもらうことで、超高齢化社会への活路を見いだそうとしている。

プラズマ乳酸菌を筆頭に「医と食をつなぐ事業」

キリングループが発表した「2019年〜2021年中期計画」の中で重点課題の一つに、「医と食をつなぐ事業」の立ち上げと育成がある。「医と食をつなぐ事業」とは、健康課題や疾患の手前の段階(いわゆる未病)へのアプローチだ。酒類や飲料に代表される食領域と、協和キリンのもつ医領域の技術や知見を組み合わせる。
その筆頭となるのが、キリンHDが独自開発した機能性食素材「プラズマ乳酸菌(Lactococcus lactis strain Plasma)」だ。一般的な乳酸菌は免疫系のうちNK細胞のみを活性化させることが知られているが、プラズマ乳酸菌は免疫系の司令塔ともいえるプラズマサイトイド樹状細胞に直接はたらきかけることでNK細胞、細胞障害性T細胞(キラーT細胞)、B細胞、ヘルパーT細胞を活性化、すなわち免疫系全体を活性化させる機能を持つ。
いわゆる健康食品は世の中に多くあるが、作用機序が明確でなかったり、細胞実験や動物実験の結果しか示されてなかったりするものがある。それらに対してプラズマ乳酸菌は、免疫系全体への作用機序が判明しており、ヒトへの投与試験で有用性も示されている。プラズマ乳酸菌の効果には、風邪やインフルエンザの発症リスク軽減などがあり、その内容は複数の論文として学術誌に掲載されている。
これらの作用にはプラズマ乳酸菌に含まれる有効成分が関わるため、必ずしもプラズマ乳酸菌が生きている必要はない。つまり、加熱が必要な食品や飲料にも配合しても、プラズマ乳酸菌の効果は期待できる。乳酸菌素材の使用を検討している食品メーカーにとって、この特長は大きなメリットになり、応用の幅は広いだろう。

超高齢化社会に3本柱で挑む

プラズマ乳酸菌以外にも研究開発に注力しているシーズがある。その一つが、ビール原料の一つであるホップを熟成させた「熟成ホップ」だ。熟成ホップ由来苦味酸は、記憶力などの認知機能を改善し、脳機能を健康に保つことが示唆されている。今後さらに研究を進め、やがては熟成ホップ由来苦味酸を配合した商品開発も検討したいとしている。
特にプラズマ乳酸菌や熟成ホップに代表される機能性食品素材を大切にする理由は、超高齢社会を見据えているからだ。「健康に歳をとる」ことへの意識はますます高まっており、歳をとっても風邪などを引かず、記憶力を維持しながら健やかに過ごしたいと誰もが願っている。こうした個人レベルの課題だけでなく、医療費削減という国レベルの課題の解決にも、機能性食品素材の活用は一役買うだろう。
超高齢社会は、現在は日本の課題であるが、将来は他の先進国でも直面せざるを得ない課題だ。国内における高齢化関連の課題を「世界の最先端の社会課題」ととらえ、それを解決することができれば、海外においても有利に立ち回れるに違いない。
また、他のシーズには、「植物バイオ」がある。キリンには植物の急速増殖技術があり、この技術を応用するのが「植物スマートセル」だ。将来的には、医の分野への展開を期待している。
キリングループは、プラズマ乳酸菌による「免疫」、熟成ホップによる「脳機能」、そして「植物バイオ」の3つの特長を打ち出し、国内外での成長を目指す。

バイオサイエンス技術に見て・触れて・体験できるブースを用意

キリングループがもつ技術や知見をスピーディーに国内外で活用するため、2019年に入っていくつかの組織改編があった。
まず2019年2月、医薬用アミノ酸事業を核としてバイオケミカル事業を展開する協和発酵バイオは、キリンHDの直接の子会社となった。医療領域と食領域をより近づけるためだ。人材の交流も積極的に行われており、様々なバックグラウンドをもつ人たちが集まる多様性をグループ全体の価値としている。
2019年7月には、協和発酵キリンは「協和キリン」に社名変更を行なった。海外も含めて「Kyowa Kirin」ブランドを推し進め、日本発のグローバル・スペシャリティファーマへの飛躍をより一層加速させる。
今回のBioJapanでは、キリングループがもつバイオサイエンス技術を紹介し、広い応用例を求める。普段は見ることのないホップの実物展示や機能性表示食品「キリンサプリ」の提供、夕方にはタップマルシェを設置してクラフトビールの提供など、見て触れて体験できるブースを用意する。体験を楽しみつつ、キリングループがもつバイオサイエンス技術に触れていただきたい。

(取材・文:GH株式会社 島田)