【ノバセラ、心電図機能付きイヤホンCardiophoneを発表】

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ノバセラは2016年9月に設立され、再生医療等製品の開発事業と、国内外のバイオベンチャーに対し薬事コンサルティングや臨床研究におけるデータマネジメント業務などを行うCRO事業の2つの事業から成り立っている。今回のhealthTECH JAPANでは、音楽を楽しみながら健康管理ができるワイヤレスイヤホン「Cardiophone」を新たに紹介する。

心電図機能を搭載した完全ワイヤレスイヤホン

Cardiophoneは左右がケーブルでつながっていない独立型イヤホンで、いわゆる「完全ワイヤレスイヤホン」だ。ここに心電図としての機能を搭載し、事前に心房細動の発生を予測する。計測されたデータはスマートフォンに自動で転送され、一過性心房細動が観察された際にはクラウドを介して家族や医師にアラートが送信されるシステムの作りこみを目指している。

データ共有のシステムは、東京大学教授である橋田浩一氏が開発したPersonal Life Repository(PLR)アプリを使用する。PLRアプリは、患者の医療情報を医療機関に保管するのではなく、患者自身が管理できるという特徴がある。このアプリとCardiophoneを連携させることで、患者の健康状態(脈拍、脈波、酸素飽和度など)を把握し、医薬品やステント使用後の安全性調査を可能にすることを目指している。このコンセプトが評価され、東京都が昨年主催した海外進出支援プラットフォーム「X-HUB TOKYO」に採択された。

ワイヤレスイヤホンを製品化した理由には、代表取締役社長CEOである楠原康敬氏のご友人が大手音響機器メーカーに勤務していた経験があり、イヤホン開発が専門だったことが挙げられる。イヤホン型の心電図機能は機能的にも優れており、楠原氏は、「イヤホンは、装着中肌と密着しているので、脈拍や脈波データなどを安定して測定できる長所がある」と話す。海外では心電図機能をもつ腕時計型端末があるが、手首を動かすとデバイスがずれノイズが入りやすくなる欠点があり、脈波データの取得にはもう一方の手をデバイスに添える必要がある。それに比べると、イヤホンはデータ取得の信頼性や簡便性に優れているとのことだ。

耳の体温から熱中症リスクも評価可能

Cardiophoneは現在試作段階だが、healthTECH JAPANのブースでは試作機を展示する予定だ。当然ながら完全ワイヤレスイヤホンとして音楽を聴くことができ、ノイズキャンセリング機能もあるため、日常的に使いたくなるものでもあると、楠原氏は自信を見せる。

将来的には、100〜200人の抗凝固薬(非弁膜症性心房細動などの治療薬)の投薬を受けた患者で、一過性心房細動による脳梗塞を引き起こすリスクが高い患者を対象に臨床試験を行い、一過性心房細動検出のためのアルゴリズム導入や脳梗塞発症予防に焦点を当てて精度を高め、医療機器承認を目指す。

また、Cardiophoneはコンシューマ向けの別モデルとして、熱中症リスクの予測と通知が可能なバージョンも制作している。耳で体温を測定することで、熱中症リスクを評価できる仕組みだ。夏に屋外で働くことが多い職種では、従業員の体調管理のためにも活用できるのではないだろうか。この別モデルについては、クラウドファウンディングで開発資金を募っている。

このようにCardiophoneは、アイデア次第で様々な可能性を秘める製品だ。healthTECH JAPANのブースで試作機を手に取り、どのような機能追加や応用ができるか自由に発想するのもよいだろう。ノバセラでは、Cardiophoneの製品化に向けた協業パートナーや、臨床試験を実施するためのパートナーを募集している。

着実に進む再生医療事業

メイン事業である再生医療事業についても、着実に進んでいる。現在、自社開発している再生医療等製品は、変形性膝関節症に向けた脂肪由来幹細胞+スタチン含有PLGAナノ粒子(NC-301)がある。これについては、大手製薬企業との提携も進んでいるという。また、化粧品への応用として、 薬剤封入脂肪幹細胞由来成分を含む増毛育毛用外用剤や皮膚再生用外用剤の開発も進める。CRO事業と合わせて、こちらの事業にも注目していただきたい。

取材・文:GH株式会社 島田