【ソニーイメージングプロダクツ&ソリューションズ、再生医療の研究課題へソリューションを展示】

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家電をはじめとする電機、電子部品、金融、映画・音楽など多様な事業展開をしているソニーグループが再生医療JAPANに出展するのは意外に思われるかもしれないが、実は、細胞分析装置であるフローサイトメーター(FCM)などを自社開発している。レーザーを使った光ディスクの読み取りと細胞検出は非常に似ており、ソニーの技術力を異分野に活用した好例だ。再生医療JAPANでは、再生医療の研究課題のソリューションとしてフローサイトメーターとライブセルイメージングシステムを紹介する。また、共同出展するソニービジネスソリューションからは、大容量データを長期保存できるストレージシステムが紹介される。

独自技術によるセルアナライザーとセルソーター

フローサイトメトリー法において、細胞固有の自家蛍光はしばしば正確な解析を阻害する。自家蛍光により偽陽性集団が発生し、陰性/陽性の正確な分離が難しくなるためである。

ソニーのフローサイトメーターは世界初のスペクトル型セルアナライザーであり、自家蛍光を一つの蛍光色素として計算処理することで、自家蛍光の影響を除去して本来の各マーカーの蛍光データをクリアに描写できるのが特長だ。

再生医療の研究では、iPS細胞から目的の細胞に分化させる段階で、マーカー発現の有無により細胞のスクリーニングを行う手順が生じる。これは分化条件などを検討する上で欠かせないからだ。その際、自家蛍光を除去して正確な解析データを得ることは必須であり、よりクリアなデータが得られる同社のセルアナライザーは非常に魅力的である。

細胞を個々に観察するセルアナライザーに対して、それらの細胞を分取できるのがセルソーターである。再生医療では、セルソーターで分化後の特定の細胞を採取して細胞特性を詳細に解析したり、モデル動物に移植したりする場面に使われることが多いだろう。しかし、セルソーターは比較的扱いが難しい機器であり、セットアップに時間がかかる、ストリームが安定せずトラブル対応に手間取る、メンテナンスが煩雑などといった難点がある。「セルソーターは熟練者が使うもの」「使ってみたいが手を出しにくい」と、ハードルが高いと感じるライフサイエンス研究者も多い。

そこでソニーのセルソーターは、ディスポーザブルの交換式ソーティングチップを採用し、トラブルとメンテナンスの煩雑さを最小限に抑えた。また、全自動セットアップ機能も備えており、機械が苦手な人、初めてセルソーターを扱うユーザーでも20〜30分程度の時間で簡単にセットアップできるという。

ソーティングチップがディスポーザブルということでランニングコストが気になる点であるが、これについて担当者は、「ソーティングチップは1つ3000円弱で、トラブル対応にかかる時間やサンプル破棄のリスクを考えれば受け入れられる価格」と、リーズナブルであることを強調する。

非侵襲/非染色のライブセルイメージング

再生医療では、心筋細胞のように、培養中の細胞の挙動を観察することがしばしばある。一般的には蛍光色素などでラベリングして定性/定量評価するが、試薬による細胞へのダメージが懸念される。

同社のライブセルイメージングシステムは、位相差顕微鏡画像を動画として撮影し、オリジナルソフトウェアで解析することで、非侵襲/非染色での細胞の動きを観察できる。シート状の心筋を撮影し、伸縮・弛緩のリズムを瞬時にグラフ化することも可能だ。従来のイメージングシステムでは不可能だった、シングルセルレベルのミクロな挙動解析も可能だという。非侵襲/非染色なので、細胞をそのまま次の実験に使用できるメリットもある。
なお、位相差顕微鏡をすでに保有しているユーザー向けに、動画用カメラとソフトウェアのみの販売も行っている。この場合は初期費用をかなり抑えられるだろう。

100年データを保管できる大容量ストレージ

共同出展するソニービジネスソリューションは、データを100年保管できるストレージシステム「オプティカルディスク・アーカイブ(ODA)」を紹介する。

近年、超高細画像顕微鏡解析、次世代シーケンサー(NGS)データ、深層学習用データなど、研究データは年々増加している。治験関連データは30年程度の保管を求められるケースもあり、大容量かつ長期保管できるストレージの需要が高まっている。ハードディスクドライブ(HDD)は物理的に故障しやすく、クラウドストレージは通信速度やセキュリティ面のリスクがあるなど、各種記録メディアには課題が多い。

ODAは光ディスク技術を応用したもので、大容量カートリッジ、高堅牢性、長寿命を特長とする。1カートリッジあたりの容量は5.5 TB、温湿度変化などに強く、推定保管寿命は100年以上だという。既存のローカルメディアでは、寿命が近づくとデータ移行の手間が発生するが、ODAはそれがほとんどない。担当者は、「生データの保管に向いている」と述べる。すでに大学や研究機関、製薬企業、医療機関への導入例がある。

家電メーカートップクラスの技術力が結集された機器の実力をぜひご覧になっていただきたい。

取材・文:GH株式会社 島田