【日立グループ、「One Hitachi」で実用化に向けた再生医療事業を支援する】

小間番号: R-08

日立グループは、再生医療に関する様々な製品・サービスを紹介するため、日立アプライアンス、日立化成、日立キャピタル、日立産機システム、日立ハイテクノロジーズ、日立ハイテクソリューションズ、日立プラントサービス、日立製作所の8社が合同で出展する。テーマは「再生医療の明日をともに」。

ブースでは多くの製品を展示するが、ここでは日立アプライアンス及び日立プラントサービスの細胞培養加工施設、日立化成の細胞製造受託、日立産機システムの再生医療用キャビネット、日立製作所のiPS細胞大量自動培養装置を紹介する。これらを通じて日立グループは、施設設計から装置・機器の提供、そしてメンテナンスまでトータルに再生医療事業をサポートする。また、日立製作所が進める産業競争力懇談会(COCN)2018年度推進テーマ「iPS細胞バンクを中心としたエコシステムの構築」についても触れる。再生医療が研究の段階から実用化に向けて動き出している中、グループならではの「One Hitachi」によるトータルバリューチェーンを提案する。

 

CPC(日立アプライアンス)

日立アプライアンスでは、これまで培ってきた空調システムを活用したCPC設計、施工を提供している。国内初のクリーンルーム壁面のフラットパネル化によるゴミ溜まりの軽減、サニテーションの効率性向上、セントラル方式の過酸化水素滅菌による効率性向上、省人化など産業化へ向けて各種取り組みを行っている。これまでに製薬企業やクリニックなどが導入している。

また現在、東京都中央区日本橋にCPCデモルームを建設中であり、11月に竣工予定である。CPCデモルームでは、細胞培養実験に必要な設備や装置を見ながら商談やシミュレーションできることが最大の特徴。完成時にはこちらにも来場していただき、実物に触れながら自施設への導入を検討してほしいとのことだ。

ブースではCPCデモルームの資料を展示し、利点を紹介する予定だ。また、フラットパネルの実物などを展示し、利点を紹介する予定だ。

細胞製造受託(日立化成)

日立化成では多くの企業と連携し、再生医療等製品の製法開発・受託製造に注力している。今年2月にAccellta社(イスラエル)と、培地の製法と培養技術のライセンス契約を締結した。3月にはサンバイオグループと、再生医療等製品「SB623」の治験薬及び市販用製品の受託製造に関する業務提携に合意し、第一三共株式会社とは、再生医療等製品の日本における治験薬の受託製造契約を締結した。

また4月には、グローバルで3拠点目となる無菌製造施設を横浜で開業した。日本に再生医療等製品の製造拠点ができたことで、国内企業とのさらなる連携を目指す。

再生医療用キャビネット(日立産機システム)

日立産機システムの再生医療用キャビネット「RCVシリーズ」は、簡易クリーンブースやインキュベータなどと無菌的に接続して、機器内部間で細胞の受け渡しを可能としている。作業室内は清浄度グレードAを満たす。通常、キャビネットと他の機器との接続は気流のコントロールが困難になるが、「RCVシリーズ」では高い清浄度と気流バランス性能を両立することに成功した。また、浮遊菌やパーティクル監視のためのネットワークカメラやスピーカーなどを取り付けることも可能。作業室内サイズとして、作業者一名を想定した幅1,300mmと、複数名を想定した幅1,950mmの2種類があり、設置場所や作業内容に応じて選択できる。

今回は、「RCVシリーズ」と滅菌装置とインキュベータを接続した状態で展示する。日立アプライアンスのCPCと合わせて、ルーム設計と装置選択の両方を「One Hitachi」でサポートし、顧客の多様なニーズに応えることができる体制となっている。

再生医療の研究施設から製造施設までのEPC事業(日立プラントサービス)

日立プラントサービスは、再生医療、バイオ医薬を含めた医薬品製造施設の提案、納入、アフターサービスまでワンストップでのソリューション提供が可能。再生医療の細胞培養加工施設の特徴としては、2003年以来積み重ねた38件の実績(研究施設、治験施設、製造施設)とPIC/S GMPに沿ったグローバル対応があげられる。また、本年6月には、再生医療技術の産業化促進に向けて、大阪大学に、「日立プラントサービス再生医療協働研究所」を設立した。本研究所では、再生医療技術の産業化促進に向けてクオリティの高い再生医療技術の事業プラットフォームを構築することを目的に、「モノづくり」、「ルールづくり」、「ヒトづくり」、の実践の場として、細胞の製造や搬送を含めたサプライチェーン全般にわたる無菌保証や運用方法に関する研究を行い、顧客企業とのさらなる連携を目指す。

ヒトiPS細胞大量自動培養装置(日立製作所)

日立製作所は2017年4月、大日本住友製薬株式会社から再生医療向けのヒトiPS細胞大量自動培養装置の受注に関するニュースリリースをした。本装置はボトル、流路(チューブ)、培養容器などが閉鎖式のシングルユース構成となっており、細胞播種、大量の拡大培養(最大10億個の細胞)、分化誘導と細胞観察を無菌閉鎖空間で行うことができる。大日本住友製薬では他家iPS細胞由来のドパミン神経前駆細胞によるパーキンソン病治療の実用化に取り組んでおり、本装置が活用されている。なお、本製品は2017年度の日刊工業新聞社「十大新製品賞」の本賞を受賞し、再生医療業界から高く評価されている。

ブースでは実機の模型とパネルを展示する。また、GMP(Good Manufacturing Practice)対応など顧客からの要求ニーズに応じ、顧客と共に本機の更なる改良を進めていく姿勢を打ち出している。

産官学でiPS細胞の産業化を推進したい

日立製作所が進める産業競争力懇談会(COCN)2018年度推進テーマ「iPS細胞バンクを中心としたエコシステムの構築」では、iPS細胞の利活用に向け、創薬支援に向けたiPS細胞バンクの整備の実現を目指している。これまで日立製作所は京都大学iPS細胞研究所(CiRA)と協力して、健常者のボランティアから検体を集め、樹立したiPS細胞と健診データからなる「日立iPS細胞パネル」を構築してきた。この経験から、患者由来iPS細胞だけでなく、健常者由来iPS細胞からなるiPS細胞バンクの創薬支援への利活用に向けて、国際標準規格の細胞製造技術や健診情報等のデータベース化などのエコシステムが必要であると考えている。

さらに、創薬支援へのiPS細胞の利活用のためには、産官学が連携して課題を整理、解決しなければならない。特に産業界が一体となって推進する例として、10年先を見据えたビジネスモデルの構築とその運用、FIRM等の業界団体と連携した人材育成、個人情報保護に基づいて匿名化情報を取り扱うシステム構築の検討等が挙げられる。今年度のCOCN活動は、COCN関係者で協議した結果をまとめ、COCNから提言することを計画している。日立製作所は、このCOCN活動のリーダーとして、多くの企業、大学、医療機関等の参加を促し、iPS細胞産業化の拡大に向けた課題を共に解決する提言をまとめることを目指している。

日立製作所および日立グループはメーカーとして、顧客と対話して新しい製品を産み出すことを得意としている。意見交換や情報交換を通じて、共にiPS細胞利活用をはじめとする再生医療産業を盛り上げていきたいと意気込みを見せている。

取材・文:GH株式会社 島田